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Korg miniKORG 700FS Manuel D'utilisation page 41

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ニストにとってのわかりやすさ、 操作のしやすさにこだ
わって、 仕様やレイアウトを考えました。
操作パネルは鍵盤の下になければオルガニストの手が届
きません。頻繁に使うオクターブや波形選択スイッチの
つまみは、 瞬時に切り替えられるように特別な形状にしま
した。当時社内でのニックネームは 「浣腸つまみ」 でした。
初めてシンセサイザーに触る方のために、 どのような操作
をしても音が無くならない工夫もしました。例えばトラ
ベラーの二つのつまみは互いにもう片方のつまみを追い
越さないように、 機械的制限をかけています。自分として
は良いアイデアと思ったのですが、 輸出先のディストリ
ビューターからもっと可変範囲を広くとの要望もあり、 そ
の制限を外したモデルもあります。今回の復刻モデルに
は、 制限ありと制限なしの2種類のつまみが同梱されてい
ます。ぜひ両方を試してみてください。
 なお「トラベラー」は試作一号機、 デカコルグ、 この
miniKORG 700 シリーズからエフェクターに至るまで、 た
くさんの弊社の商品に搭載されました。この名前はロー
パス、 ハイパスフィルターのつまみを旅行者 (Traveler) に
見立て、 長い旅路を行き来する様を表したつもりです。
 試作一号機の鍵盤左側のコントロールパネルには、 つま
みが同一の軌道上を行き来する特殊な構造の長~いトラ
ベラーを搭載しました。その隣にピッチベンドのための
ジョイスティックや A,I,U,E,O の母音切り替えボタン、 上段
には Reverb の文字の一部も見えますが、 これらは次の次
以降の商品に生かされます。今回の復刻モデルは、700S
では小型化のために搭載を断念したジョイスティックや
リバーブを追加しました。
試作一号機の左パネル部
 当時の一般的なシンセはピッチが非常に不安定でし
たので、 試作一号機と同じ Hz/Volt 方式を踏襲しました。
miniKORG 700 のピッチがどれだけ安定していたかという
と、 その後発表した世界初のメーター式ハンディ・チュー
ナー WT-10 にもこの音源回路を使ったほどでした。
なお Hz/Volt 方式 は電気計測器のアッテネーターの原理
にヒントを得て開発した独自の方式ですが、Oct/Volt 方
式の他社の楽器に接続するために、 別途変換器を用意し
なければならないという余分の仕事を作ってしまいまし
た。いまだから話せる裏話です(注 : miniKORG 700FS は、
Hz/Volt 方式を採用しつつ、Oct/Volt 方式の機器を接続で
きるように設計されています) 。
 誰でも操作できるようにつまみの数は必要最小限にし
ました。エンベロープ・ジェネレーターは ATTACK と
SINGING/PERCUSSION という二つのつまみだけで、 たい
ていの楽器音を出せるように考えました。ADSR 方式で
はないのです。
 発売後、KORG(当時は京王技研)のシンセは他社の楽
器と仕様や機能の名称が異なるから業界で統一したほう
がよいのではと言われたこともあります。それから数年
後のシンセサイザー MS-20 等では、 一般的な名称や機能
を採り入れるようになりますが、 これは私にとっては苦渋
の選択でした。楽器は個性があるからこそ面白いとずっ
と思ってきたからです。
 miniKORG 700、miniKORG 700S、800DV は兄弟機種で
す。基本となる回路は同じで、 700S は 700 に VCO を追加、
800DV は 700 を2声(ダブルヴォイス)にしたものです。
このシリーズは音が太いとよく言われました。設計者と
しては、 太い音にするための特別なノウハウを持っていた
わけではありません。しかし後に振り返ってみると思い
当たる節もあります。
たとえば音源となる三角波の波の形です。初期の実験中、
もっと波形をきれいにしようとすると音がたよりなくな
る現象を何度も経験しました。音は音です。音は波の形
ではありません。きれいな波形を目指して、 オシロスコー
プを覗いてはいけないことを知りました。
この miniKORG 700S は楽器作りにとって、 何が大事なこ
となのかを教えてくれたのです。
41
株式会社コルグ 監査役
miniKORG 700FS 開発監修
三枝文夫

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